本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。
投資判断の是非を判断するために利用されるものではなく、会計・法律・税務に関するアドバイスや投資を推奨するものではありません。
米国証券取引委員会(SEC)は、2023年1月10日に「ビットコイン取引所上場商品の承認に関する声明」を発表しました。
本記事では、ビットコインETFの承認について詳しく解説します。
- 本記事で分かること
- ・ビットコインETFの承認について
・ビットコインETFとは?
・上場投資信託(ETF)について
・ビットコインETF4つのメリット
・ビットコインETF4つのデメリット
・MatrixportのETF却下予想について
・イーサリアムの価格に影響
ビットコインETFの承認について
まずはビットコインETFの承認について解説します。
記事の後半で「そもそもビットコインETFとは何か」を解説します。
2023年1月10日に米国証券取引所のゲイリーゲンスラー氏によって、ビットコインETFの承認が発表されました。
ビットコインETFが承認されたのは「米国初」です。
米国以外にビットコインETFが認可されていた国はあります。
- ビットコインETFが認可されていた国(2023年1月9日以前)
- ・カナダ
・ドイツ
・ブラジル
・オーストラリア
・ジャージー
・スイス
・リヒテンシュタイン
・ガーンジー
なお、以下4つの地域は税金が(ほとんど)かからないオフショア地域です。
- ジャージー
- スイス
- リヒテンシュタイン
- ガーンジー
- オフショア地域関連用語
- ・Tax Haven(タックスヘブン):税金避難所。租税がゼロか、限りなくゼロに近い地域のこと。
CoinGecko(@coingecko)が発表したレポートによれば、カナダがビットコインETFをリードしているとのことです。
世界のビットコインETF資産の約46%を占めています。
- ビットコインETF総資産:60.1億ドル
- カナダビットコインETF総資産:27.9億ドル
参考レポート:カナダがビットコインETFをリード、全世界の資産の46%を占める
日本ではビットコインETFが認可されていません。
つまり、日本の証券取引所では購入できないということになります。(ただし、海外の証券取引所での購入は可能です)
次は、そもそもビットコインETFとは何かを解説します。
ビットコインETFとは?
ビットコインETFとは、ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託です。
分解して説明します。
- ビットコイン売買の現状
- 上場投資信託(ETF)について
- ビットコインETFのメリット
- ビットコインETFのデメリット
- ビットコインETFの申請について
ビットコイン売買の現状
ビットコインを購入する際は、暗号資産取引所で購入して保管します。
購入後の保管方法は様々です。
- 暗号資産取引所に保管する
- ホットウォレットに保管する
- コールドウォレットに保管する
ホットウォレットとコールドウォレットについては、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:ハードウェアウォレットとは?選び方やメリット・デメリットを解説
いずれも秘密鍵を管理する必要があり、GOXする(資産を失う)可能性があります。
暗号資産取引所の秘密鍵は取引所が管理しているため、中央集権的な管理です。
国内暗号資産取引所がハッキングされた事例もあります。
こちらの事例では、暗号資産保有者に対する補填が行われました。
しかし、すべての取引所が補填するとは限りません。
「中央集権的な管理の取引所」がハッキングされたときに資産を失う可能性は、大いにあります。
上場投資信託(ETF)について
ETF(Exchange Traded Funds)は、証券取引所に上場している投資信託を指します。
投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品のことです。
上場していない投資信託もあります。
上場投資信託(ETF)は、証券取引所で取引が可能です。
参考記事:今さら聞けない!投資Q&A
つみたてNISAでも、ETFの金融商品は存在します。
参考記事:新NISAガイドブック
ビットコインETFのメリット
メリットは4つあります。
- ビットコインETFのメリット
- ・秘密鍵の管理不要
・シードフレーズの管理不要
・証券口座でビットコインを購入可能
・税制上有利になる
ビットコインは中央集権的な管理になりますが、投資家の観点では非常にメリットが大きいことは明らかですね。
なぜなら、秘密鍵・シードフレーズの管理が不要だからです。
また、税制上の利点が生じる可能性もあります。
現在の暗号資産の売買は「雑所得扱い」となり、累進課税が適用されます。
- 累進課税とは?
- 課税対象となる所得の金額が大きくなるほど、高い税率が適用される課税方式のこと。
参考 : 国税庁 所得の税率
累進課税の場合、15%〜45%の税率がかかり、住民税と合わせると最大55%の税率がかかります。
ETFなどの株式投資による譲渡益は「申告分離課税」の対象です。
※譲渡益(キャピタルゲイン)は、株式の売買などで得た利益のこと。
こちらは税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が適用されます。
給与など、他の所得とは区分して税金の計算を行う方法です。
- 申告分離課税とは?
- 給与などの課税(累進課税)とは別で適用される課税制度のこと。
参考 : 国税庁 申告分離課税制度
この申告分離課税の適用により、個人投資家はビットコインETF投資に関する税負担を軽減できる可能性があります。
他にも、3年間に渡って損失分をその年の利益と相殺できる「損益通算」ができる可能性がありますね。
税制については、専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。
なお、今回のビットコインETFの承認で、村上ゆういち@魔界の税理士(@Jeanscpa)氏が税理士としての見解をX(旧Twitter)で投稿しています。
参考にしてみてください。
ビットコインETFのデメリット
デメリットは4つあります。
- ビットコインETFのデメリット
- ・中央集権的になる
・匿名性が担保されない
・証券市場での売買しかできない
・市場のビットコインの量が減少する可能性がある
ビットコインの誕生は、中央集権的な価値の管理からの脱却のためです。
ETF申請は投資家にとっては多くのメリットはありますが、ビットコインの理念に強く共感する人にとってはデメリットになり得ます。
なぜ中央集権的になるのかというと、ETFは証券取引所を通じて売買されるからです。
投資家の身元情報が必要となります。
つまり、ビットコイン取引の匿名性は薄れますね。
また、ETFの運用残高が増加すると、市場に流通するビットコインの量が減少する可能性があります。
なぜなら、ETFの発行会社が運用残高に応じてビットコインを購入し保有する必要があるためです。
市場の流動性に影響を与えることが考えられます。
とはいえ、税制面のメリットがかなり大きいので、ビットコインが広く普及する可能性はありますね。
ビットコインETFの申請について
2023年6月15日、世界最大の資産運用会社BlackRock(@BlackRock)が、ビットコインETFの申請を米国証券取引委員会(SEC)に提出しました。
BlackRockの提案は、実際のビットコインを裏付けとする「現物ビットコインETF」です。
今回の承認により、米国株式市場で直接ビットコインに投資することが可能になります。
BlackRockは、過去の申請の承認確率からも注目を集めていました。2023年6月時点で同社は575件のETF申請中、非承認は1件のみです。
なお、数日前にMatrixport(@realMatrixport)が非承認の予測をしていました。
Matrixportとは暗号資産の投資・取引および活用に使用できるデジタル資産金融サービス プラットフォームです。
関連記事:【ビットコインETFが却下?】MatrixportがビットコインETF申請が却下されるとの予想
まとめ
本記事では、ビットコインETF承認についてまとめました。
- まとめ
- ・ビットコインETFの承認について
・ビットコインETFとは?
・上場投資信託(ETF)について
・ビットコインETF4つのメリット
・ビットコインETF4つのデメリット
・MatrixportのETF却下予想について
今回のETF承認の発表で、ビットコインの価格が上昇するかと思いきや、そこまで価格に影響がありませんでした。
出典:CoinGecko
価格の変動は、24時間で約1.7%です。(2024年1月11日18時時点)
出典:CoinGecko
影響がでたのは、時価総額2位のイーサリアムです。
出典:CoinGecko
価格が24時間で10%以上も上昇しています。(2024年1月11日18時時点)
出典:CoinGecko
ビットコインETFが承認されたため、「次はイーサリアムETFの承認が来るのではないか」との予測がされています。
ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、イーサリアムのスポットETFが5月に承認される確率は70%だと予想していると語った。 SECは、VanEck、Ark 21Shares、Hashdexを含む複数のイーサリアムスポットETF申請について5月末までに承認決定を下す必要がある。デジタル資産弁護士のジョー・カーラサーレ氏は、イーサリアムスポットETFは今年承認されると考えているが、承認には人々の予想よりも少し時間がかかる可能性がある。
https://x.com/WuBlockchain/status/1745312885298041012
これからも多くの予測が飛び交うことが予想できます。
以上です。
記事ソース:公式サイト、ビットコイン取引所上場商品の承認に関する声明