NFT(非代替性トークン)には次のような3つの特徴があります。
[aside type="boader"]- 取引可能性
- 相互運用性
- プログラマビリティー
これらの特徴は、ゲームやアートといったNFTの活用分野と密接にかかわってくるものです。
1.マーケットプレイスを成り立たせている取引可能性
NFTの取引可能性とは、マーケットプレイスなどで自由に販売できることを意味しています。 なぜこれが可能になるかというと、デジタルデータの所有をブロックチェーンが担保しているからです。
分かりやすいケースとして、ゲーム内アイテムを例に説明していきます。
一般的なゲームは、デジタルデータの所有を、サービス提供会社が担保しています。 つまり、提供されているサービスの中でしか、所有していることが認められないデータです。 このため、ゲーム外部にデータを持ち出すことはできません。
ゲーム内のアイテムは、提供会社が許可していなければ、販売することは不可能です。 ゲームによっては、アイテムの譲渡や交換そのものを認めていないことすらあります。
これに対して、NFTは所有していることを独立したブロックチェーンが担保しています。
特定の企業が担保しているわけではないので、ゲーム外に持ち出すことが可能です。 アイテムの譲渡や交換についても、自由に行うことが可能となっています。
こうした機能を生かして設立され、盛り上がっているのがNFTマーケットプレイスです。 ただし、NFTの取引可能性にはまだ問題点があります。
作成されたブロックチェーン上でしか、取引可能性が担保されていないことです。
NFTの取引可能性を高めるため、最近ではクロスチェーンに対応したNFTも出ています。 他のブロックチェーン上にあるNFTを持ち込める機能で、取引の機会を広げる目的があります。
2.アイテムが他のゲームでも使える相互運用性
NFTはイーサリアム(ETH)の場合、ERC-721やERC-1155といった規格が定められています。 同じ規格のNFTが使える分散型アプリケーション(dApps)なら、何でも使用可能です。
これを相互運用性といい、ゲーム内アイテムなどに活用されている機能です。 どのように活用されているのか、具体的に説明していきましょう。
一般的なゲームは、ゲーム内アイテムを他のゲームに持ち出して使用することはできません。 あるゲームの最強の武器を、別のゲームに持ち出して使用することはできないのです。
同じゲームであれば、ポケットモンスターのように、所有しているポケモンを交換することは可能です。 しかし、ポケモンをゲーム外に持ち出して、別のゲームで活躍させることはできないのです。
ゲーム内アイテムがNFT化されていれば、ゲーム外に持ち出して使用することが可能。 あるゲームで入手した最強クラスの武器を、他のゲームでも使うことができるのです。
武器をカスタマイズし、強化していれば、そのデータのまま持ち出せます。 ドラゴンクエストの武器を、ファイナルファナジーで使うようなことが可能になります。
ただし、相互運用性を活用するためには、同じ規格のNFTでなければなりません。 ETHの場合、ERC-721とERC-1155には互換性がありません。 このため、同じブロックチェーン上のNFTであっても、相互運用はできなくなっています。
3.「転売対策」を可能にするプログラマビリティー
プログラマビリティーとは、NFTにさまざまな付加機能を持たせられるものです。 この機能は、NFTアートを作成する作家にとって重要なものとなっています。
アート作家にとっての大きな問題は「二次流通」です。 誰かに作品を売却したあと、そこから転売されても、自分には利益が入ってこないためです。
最初の価格が極めて安いにもかかわらず、転売時に価格が跳ね上がっていれば、目も当てられません。 法的に問題がなくても、作家のモチベーションにかかわってくる可能性は否定できません。
こうした問題を解決できるのが、NFTのプログラマビリティーなのです。 NFT作成時に、プログラマビリティーを活用し、転売時の利益の一部が作家に入るようにするのです。
こうすることで、NFTアートが何度転売されても、作家に利益が入る仕組みを作り出せます。 NFTアートの価格が跳ね上がれば、入ってくる利益も大きくなります。
これによって、アート作家のモチベーションに良い影響を与える可能性が出てくるわけです。 実は、NFTの多くがETH上で発行されているのは、このプログラマビリティーの問題が大きいのです。
ETHには契約を自動的に履行する仕組みである「スマートコントラクト」が実装できます。 転売時の利益の一部が作家に入る仕組みも、スマートコントラクトによって自動的に履行されるのです。
まとめ−3つの特徴を生かせる分野で活用
NFTはゲーム由来の規格で、アート作品でも活用されています。 いずれも、この3つの特徴が生かせる分野だからです。
新たにNFTを活用する分野が出てくる場合も、特徴を生かせるものになるとみられます。 今後の展開を注視しておきましょう。
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