社長のリーダーシップが最大限発揮される環境を作るーーグリー株式会社

グリー株式会社
(画像=グリー株式会社)
大矢 俊樹(おおや としき)――取締役 上級執行役員 最高財務責任者
1992年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ )に入社。1999年11月、ソフトバンク・インベストメント株式会社(現:SBI ホールディングス株式会社)に入社。2003年2月、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)に入社し、2005年6月より株式会社クレオ取締役、2006年4月より同社取締役最高財務責任者、2011年4月より同社代表取締役社長。2012年4月、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)最高財務責任者 執行役員に就任。2015年6月、同社 副社長執行役員 最高財務責任者に就任し、2018年3月に退任、2018年9月まで同社シニアアドバイザー。2018年9月、グリー株式会社 取締役に就任し、2019年10月より最高財務責任者。公認会計士。
グリー株式会社は「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションを掲げ、2004年に創業しました。世界初のモバイルソーシャルゲーム「釣り★スタ」を2007年にリリースするなど、日本のモバイルインターネットサービスを牽引してきました。現在はゲーム・アニメ事業やメタバース事業など複数の事業を展開し、昨日よりも今日、今日よりも明日を豊かにしていくためのサービスを作っていくことを目指しています。

現在までの事業変遷について

ーーこれまでの事業の変遷について教えてください。

グリー株式会社 取締役 上級執行役員 最高財務責任者・大矢 俊樹氏(以下、社名・氏名略)
弊社代表の田中がSNS「GREE」を2004年に個人で開発・リリースしました。利用者の急拡大に伴い、法人化したのがこの会社の始まりです。世界初のソーシャルゲーム(ブラウザゲーム)「釣り★スタ」をリリースし、現在も運営を続けるヒットタイトルとなっており、2013年ごろまではこうしたブラウザゲームを軸に展開していました。

その後はスマートフォンの普及に伴い、ゲームもスマートフォンを中心に展開し、「アナザーエデン 時空を超える猫」や「ヘブンバーンズレッド」などのヒット作を創出することができたのです。

グリー株式会社
「アナザーエデン 時空を超える猫」
グリー株式会社
「ヘブンバーンズレッド」

しかし、ゲームのようなエンターテインメント事業は、ヒットすれば伸びやすい一方で、振れ幅が大きい事業でもあります。そのため、次の収益基盤を常に模索しており、現在は、メタバース事業、DX事業、投資事業にも力を入れています。

グリー株式会社
(提供=グリー株式会社)

ーー投資事業にも力を入れているということですが、投資に対するスタンスの変遷や、中長期的な利益貢献を実現するために意識した方向性について教えていただけますか?

大矢:2010年ごろから投資を始めましたが、2020年までの間は、事業としては位置づけず、LP出資、スタートアップへの投資を行っていました。当初は、組織的な哲学やポリシーを持った事業という認識はありませんでしたが、その中で新規投資、追加投資の実行を継続し、リターンも出ていました。

その後、事業化・本業化を進め、売上・営業利益に貢献するような事業として取り組む価値があると考え、2021年から本格的に投資事業を始めました。

御社における大矢様の役割について

ーー大矢様の役割について教えてください。

大矢:CFOとしての役割は、会社によって求められることが変わると考えています。ファイナンス面を中心に、財務戦略やIR、M&Aなどを進めていくことは共通していますが、最終的には企業価値を上げられるかどうかが重要です。

グリーの最大の特徴は、代表の田中が株式の約6割を実質的に保有しており、オーナー企業のような経営が可能である点です。このため、経営基盤が安定しており、長期的な価値を作っていくことができる環境だと考えています。そのような状況で、田中のリーダーシップが最大限発揮できるようにすることが肝心です。

田中は物作りやプロダクトに対する思いが強い人間です。それに注力してもらうために、私の方は、コーポレート的な部分や会社のガバナンス、ファイナンスなどをカバーしていくことを意識しています。

ーーありがとうございます。特に投資事業について、CFOとして力を入れていることがあれば、お聞かせいただけますか?

大矢:投資事業は財務戦略の一環として行っています。

エンタメ領域の事業はボラティリティが高いため、バランスシートの安全性を確保し、キャッシュを多く持つ必要があります。しかし、それだけでは株主が期待するROEなどに届かない時期もあるため、キャッシュの有効活用が必要です。そのため、スタートアップ企業やファンドなど、最先端の取り組みへの投資を通じて、業界や企業側でのプレゼンスを高めるだけでなく、インターネット業界全体の底上げに寄与したいと考えています。

私の役割としては、投資事業全体のキャッシュアロケーションや事業運営を行い、取締役会や株主の理解とサポートを得ることを意識しています。

ーー近年はCFOがCOOになるケースが増えています。これは昔のように間接市場という銀行からの調達だけではなく、マーケットと直接会話することが増えたからです。CFOが戦略面に多く携わるようになり、結果として会社の経営企画部分に大きく貢献されるようになったからではないでしょうか。大矢さんは将来的にCOOを目指すことや、自ら社長になることを考えていますか?

大矢:まず一般論として、CFOのプレゼンスが上がってきており、アメリカをはじめとする諸外国では、CFOがCOOになるのは珍しくないです。それが潮流であるというのは良いと思いますし、CFO層に目立つ人が多くなったり、層が厚くなることは良いことだと思います。最近では、FP&Aなどの絡みもあるため、CFOがクローズアップされる場面が多くなってきていると感じます。

ただ、私自身は現在の役職を変えたいというより、周囲から今期待されていることにしっかり応えていきたいと考えています。今、私に期待されているのは、CFOとしての役割です。これまで上場企業3社で働いてきたため、その知見やノウハウをうまく活かすことができる状況だと考えています。

大矢様が意思決定の際に重要視をしている点について

ーーありがとうございます。意思決定される際に、大矢様が重視されていることを教えてください。

大矢:主に2つあります。1つ目は様々な要素を踏まえた上でバランスを持った判断をすることです。例えば、スタンスAとスタンスBがあったとします。スタンスAだけ深く議論して判断するのは、中途半端な判断だと考えています。会社として最善な結論を出すためにも、ファイナンスの視点や事業観点などの要素を掛け合わせた上で意思決定をしています。

2つ目は倫理観のある判断をすることです。採算や目の前の利益だけでなく、社会や企業としての正しさを最優先して判断する必要があると考えています。

大矢様の思い描いている御社の未来構想について

ーー大矢様の思い描く未来構想について教えてください。

大矢:まず、私たちにはSNS「GREE」から始まり、数々のゲームのヒットタイトル創出など、約20年にわたり培ってきたエンターテインメントやコミュニティ運営の力が大きな実績としてあります。これを基盤として、メタバース事業やゲーム・アニメ事業を大きく成長させていきたいと考えています。

特に、メタバース事業で展開しているスマートフォン向けメタバース「REALITY」は、若年層を中心に利用されており、既に1,500万DLを突破、海外ユーザー比率が約8割と高く、グローバルなサービスとして拡大できるポテンシャルがあります。海外市場における収益性を向上させることで、しっかりと成長させていきます。

グリー株式会社
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(『「REALITY」、全世界ダウンロード数が1,500万を突破』プレスリリースより)

また、ゲームはヒット作にも恵まれ、プロダクト開発や運営能力に関して国内で高い評価を得ています。すでに行っている、グローバル展開やマルチプラットフォーム展開もさらに加速するなど、新しい挑戦もしながら、高い成長を目指しています。

DX事業や投資事業では、安定的な成長を実現し、株主価値や企業価値の向上を図っていきます。投資事業にはボラティリティがあるものの、長期的には安定収益を生む事業と考えており、少しずつ売上や利益を上げていくことを目指しています。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

ーーありがとうございます。ZUU onlineユーザーへ一言お願いいたします。

大矢:私たちは創業以来、長年エンターテインメントビジネスに携わっており、プロダクトの企画開発や運営の能力は国内でも高いと自負しています。このアセットを基盤として、メタバースやゲーム、アニメなどの分野で大きな成長を狙うことのできるポジションにいます。今後の成長に注目していただければ幸いです。

氏名
大矢 俊樹(おおや としき)
社名
グリー株式会社
役職
取締役 上級執行役員 最高財務責任者
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