「商社株の特徴とは?」5大商社業績、配当を徹底比較│おすすめ銘柄も解説

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悩み人
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商社株が気になる。特徴や5大商社の比較をチェックしたい

本記事では、「商社株の特徴」をテーマに5大商社の業績を比較していきます。

2022年以降、5大商社の株価は大きく上昇。

好調な株価推移を受けて、新たに商社株の購入を検討している方も少なくないでしょう。

商社株は「高い配当利回り」、「割安なPBR」という魅力があります。

一方、景気敏感株であり為替や市況の影響を大きく受ける点は注意が必要です。

このため、本記事を参考に商社株のメリットばかりでなくデメリットの部分も理解しておきましょう。

商社株4つの特徴

まずは商社株の特徴チェックしましょう。

商社株の特徴とは?

万年割安かつ高配当。市況の影響を大きく受ける「景気敏感株」

具体的な特徴は以下4つです。

順番に解説します。

特徴①市場評価は割安な数値

商社株は万年割安な株価と言われています。

PERとPBRは以下の通りです。
(2024年9月13日時点)

PER(予 PBR
伊藤忠商事 12.0倍 1.85倍
三菱商事 12.2倍 1.20倍
丸紅 7.8倍 0.99倍
三井物産 9.6倍 1.09倍
住友商事 7.2倍 0.82倍
割安の目安

日経平均PER:14.88倍前後

日経平均PBR:1.30倍前後

日経平均PERと比較して、商社株PER(株価収益率)は特に割安な数値と言えるでしょう。

また、丸紅及び住友商事については、1倍を下回るPBRを付けています。

商社株が割安な理由

商社株が割安な理由は以下3点です。

  1. 事業が多岐にわたり業績予測が読みづらい
  2. コモディティ相場の影響を大きく受ける
  3. 子会社からの持ち株配当はコントロールできない

自社でコントロールできない要素が多く、リスクが高いと評価されているのが割安で放置される理由です。

特に、為替や先物市場の影響が大きく受ける点は課題と言えるでしょう。

また、事業規模が多岐に渡り正しく財務分析を行うのは簡単ではありません。

特徴②魅力的な配当利回り

商社株は高配当として魅力があります。

5大商社の予想配当利回りは以下の通りです。
(2024年9月時点)

配当利回り
伊藤忠商事 2.73%
三菱商事 3.53%
丸紅 4.03%
三井物産 3.46%
住友商事 4.12%
「丸紅」、「住友商事」は4%を超える配当利回り

但し、2023年以降商社株は好調な株価を付けており、予想配当利回りは下落傾向にあります。

(参考)三井物産配当利回り推移

一時配当利回り4%を付ける場面もあるため、狙いとする利回りターゲットを元に購入するのもおすすめです。

特徴③商社株は景気敏感株

商社株は資源事業の比率が高く原油・石炭・天然ガスなどの価格影響を大きく受けます。

2022年は資源高の影響で各商社上振れの業績となった

また、輸入商品の取り扱いであるため為替の影響も軽視することができません。

自社でコントロールできない要素が多数ある点は課題と言えるでしょう。

POINT

現在、商品やカントリーリスクへの対応も取られており、リスク分散を積極的に実施

国内コンビニへの事業投資も、リスク分散の1つと言える

特徴④ウォーレン・バフェットも注目

投資の神様と言われる「ウォーレン・バフェット氏」は日本の5大商社株の買い増しを発表しています。

POINT

バフェット氏は2020年に、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%取得

今後9.9%まで投資していく方針を発表

本発表を受けて、5大商社の株価は更に上昇。

現状の株価は割安な状態であり、更なる業績の向上を期待していることが見て取れます。

商社株の株価上昇を押し上げている1つの材料と言えるでしょう。

総合商社のビジネス内容

総合商社は就職人気ランキングでも常に上位を獲得しており、日本を代表するエリート集団と言えるでしょう。

三菱商事の社員数は単体で5,000人超え、連携で80,000人超えであり、一言で商社の仕事を解説するのは簡単ではありません。

このため、大まかな仕事のポイントのみ解説をします。

①トレーディング

商社の仕事は中間業者として売主と買主を結ぶことにあります。

  • 売主:商品を世界に販売したい
  • 買主:良い商品を安く購入したい

こんな双方のニーズを繋ぐのが商社の仕事であり、売主と買主より手数料を得るのがビジネスモデルです。

代表的な取扱いアイテムは以下の通り

  • 金属(鉄鉱石、石炭、ウラン)
  • 繊維資材
  • エネルギー(原油、石油製品、LPG)
  • 食料(小麦、大麦、とうもろこし)
  • 機械(自動車、船舶など)

担当するアイテムにより商習慣や金額が大きく異なるのも商社の特徴です。

このため、配属時担当したアイテムを長年取扱いし、その道のプロフェッショナルとして仕事を行う方も少なくありません。

②事業投資

生産から消費に関わる企業を子会社化することで、グループ収益拡大を図っています。

(参考)国内大手コンビニの事例

  • 三菱商事:ローソン
  • 三井物産:セブンイレブン
  • 伊藤忠商事:ファミリーマート

現在、大手コンビニは総合商社が経営に参画しています。

POINT

コンビニで販売されているカウンターコーヒーのコーヒー豆は経営参画をしている総合商社からの購入

事業投資を行うメリットの1つと言える

2024年世間を騒がせたビックモーターを、伊藤忠商事、子会社である伊藤忠エネクス、投資ファンド3社で株式を購入し事業を継続。

再建を図ることで大きなキャピタルゲインを狙った事業投資にも積極的です。

5大商社業績、配当【比較】

5大商社業績比較は以下の通りです。

比較データは2024年9月時点

①時価総額

時価総額1位は「三菱商事」
時価総額
三菱商事 118,454億円
伊藤忠商事 116,093億円
三井物産 87,537億円
丸紅 37,459億円
住友商事 38,222憶円

5大商社すべて3兆円を超える時価総額であり、日本を代表する大企業と言って間違いありません。

2020年には「伊藤忠商事」が時価総額TOPを取るも、2021年以降資源価格高騰の影響で三菱商事が1位に返り咲いています。

  • 三菱商事
  • 伊藤忠商事
  • 三井物産

上記3社は商社株TOP3であり、特に注目する企業と言えるでしょう。

②売上

売上1位は「三菱商事」
売上
三菱商事 195,676億円
伊藤忠商事 140,299億円
三井物産 133,249億円
丸紅 72,505億円
住友商事 69,103億円

「三菱商事」、「伊藤忠商事」、「三井物産」3社は売上10兆円超え。

特に、伊藤忠商事は2021年以降売上高を伸ばし続けています。

(参考)伊藤忠商事売上高推移
POINT

ロシア、ウクライナ戦争による石炭、鉄鉱石などの資源価格高騰が売上を上昇させた要因

各商社の取り扱い商品における強み、弱みを理解することが大切

③当期純利益、利益率

当期純利益1位は「三井物産」
当期純利益
三菱商事 9,640億円
伊藤忠商事 8,017億円
三井物産 10,636億円
丸紅 4,714億円
住友商事 3,863億円
(参考)三井物産当期利益推移

2022年以降、金属資源、エネルギー価格高騰を受け利益を大きく上昇させています。

一方、2024年以降価格が落ち着きを見せており当期利益は下落傾向にある点は注意しましょう。

④PER、PBR、ROE

PER PBR ROE
三菱商事 12.2倍 1.20倍 11.27%
伊藤忠商事 12.0倍 1.85倍 15.65%
三井物産 9.6倍 1.09倍 15.29%
丸紅 7.8倍 0.99倍 14.88%
住友商事 7.2倍 0.82倍 9.39%
POINT

PER:各社割安な水準

PBR:丸紅、住友商事は1倍を下回る数値

ROE:住友商事を除き10%を超える優良数値

ROE(自己資本利益率)は、投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利益を上げているかを表す重要な財務指標です。

伊藤忠商事はROEの数値が過去から高く、効率良く利益を上げる体制が整っています

但し、資源高の影響も受けておりあくまで現時点の数値として取扱いをしましょう。

⑤配当利回り、配当性向

配当利回り 配当性向
三菱商事 3.53% 29.8%
伊藤忠商事 2.73% 28.7%
三井物産 3.46% 23.9%
丸紅 4.03% 30.2%
住友商事 4.12% 39.5%

各商社配当余力は十分にあります。

但し、各社最高益を出している点も考慮して判断しましょう。

⑥自己資本比率

自己資本比率
三菱商事 38.6%
伊藤忠商事 37.5%
三井物産 44.6%
丸紅 38.8%
住友商事 40.3%
自己資本比率平均値は40%であり、50%以上あれば良好と判断される

上記ポイントと比較すると、商社株の自己資本比率は低い傾向にあると言えるでしょう。

  • 固定資産が少ない
  • 契約在庫など流動資産が多い

という、ビジネスモデルのため商社株は自己資本が低い傾向にあります。

このため、自己資本比率の低さはあまり意識するポイントではありません。

【結論】5大商社でおすすめの銘柄は?

2021年であれば「配当性向」、「ROEの高さ」から伊藤忠商事ですが、2024年現在賛否が分かれる状況です。

このため、以下を参考に投資銘柄を決定してみましょう。

①伊藤忠商事

株価の安定性が魅力

以下、伊藤忠商事5年チャート

安定した右肩上がりのチャートを形成。

また、増配が続く点も魅力と言えるでしょう。

一方、配当利回りは順調な株価上昇の影響もあり5大商社では最も低い2.73%。

過去3年では2回のみ配当利回り3.5%を超えています。

このため、「3.5%」を超える機会があれば積極的に狙ってみてはいかがでしょう。

②三菱商事

売上高、時価総額1位

商社株で最大手企業に投資をしたい方は三菱商事が候補にあがります。

以下、三菱商事5年チャート

2020年以降好調な株価推移が続いています。

このため、三菱商事を購入したくても買い時が掴めないと感じている投資家も少なくないでしょう。

また、配当金が増配傾向にある点も強みです。

過去3年の配当利回り推移では4%を超える場面も存在します。

このため、「4%」を超える場面では購入を検討してみてはいかがでしょう。

③三井物産

高い利益率と配当性向の低さが魅力

以下、三井物産5年チャート

2021年以降好調な株価推移となっているも、三菱商事同様2024年以降の株価は下落傾向です。

また、2020年以降増配に力を入れているも、2025年は減配予測である点は注意しましょう。

過去3年の配当利回りでは、4%を超える場面が存在します。

4.0%を超える配当利回りの場面では、積極的に購入を検討してみてはいかがでしょう。

結論、投資家の考え方次第ですがROEでは「伊藤忠商事」に軍配があがります。

続いて、商社NO.1の時価総額を誇る「三菱商事」、利益率の高い「三井物産」にも注目してみましょう。

「商社株」購入前に財務分析を実施しよう

本記事の商社株分析にはマネックス証券が提供している「銘柄スカウター」を活用しています。

口座開設が必要であるも、完全無料で利用できる便利なツールです。

POINT

投資家の中には、「めんどうくさい」、「やり方が分からない」など初歩的な悩みから銘柄スカウターを利用しない方もいる

ほんの少しの手間で、大きく差が付く部分であり利用しないのはあまりにも勿体ない

(参考)【完全攻略マニュアル】銘柄スカウター使い方、評判を解説

銘柄スカウターで商社株を分析する方法

①マネックス証券銘柄スカウターを選択

②オリジナル業種から探す→商社→総合商社

③比較一覧から分析したい商社株を選択する→比較するをタップ

比較したい商社株が横並びで表示される

銘柄名をタップすると各商社情報がチェックできる

ここまでの情報でありながら、無料で利用できる投資家必見の最強ツールと言えます。

「めんどくさい」というつまらない理由で、利用しないのは本当に勿体ないのでまだ利用していない方は、ぜひ一度利用してみてください。

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商社株の特徴【まとめ】

本記事では商社株の特徴、5大商社の業績比較を解説しました。

5大商社を比較すると、安定性の点では「伊藤忠商事」、「三菱商事」がおすすめです。

銘柄スカウターを活用して、ターゲットの配当利回りになった際購入を検討してみてはいかがでしょう。

但し、景気敏感株であるためセクター分散を行うことも忘れずに実施することが大切です。

以上、商社株特徴まとめでした。

商社株の分析をする際は、マネックス証券が提供する銘柄スカウターの利用がおすすめです。

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