DeFi市場は、現在約520億ドルの規模に達しており、200以上の異なるブロックチェーンにまたがるエコシステムが形成されています。
これにより、DeFiの理解がより複雑になっています。
本記事では、2024年に注目すべきDeFiの主要な動向を紹介します。
DeFiのKYC導入の可能性
2024年は、DeFiにおけるKYC(顧客確認)の導入が始まるかもしれません。
Uniswapは、開発者がカスタム機能を作成できる「Hooks」機能を導入し、KYCを含むコンプライアンス要件を持つ流動性プールの作成が可能になりました。
参考記事:Uniswap(ユニスワップ)V4とは
DeFiの原理主義者の中には、HooksはDeFiの創設理念、「パーミッションレス」とは相反するものだと言う者もいました。
しかし一方で、許可制のUniswapプールはDeFiプロトコルを通じて米国外国資産管理局から制裁を受けている団体と不用意に交流してしまうという、金融機関の間で非常に現実的なリスクを取り除くことによって、DeFiに利益をもたらすかもしれないと主張する人もいます。
UniswapはHooksを通じてオプションのKYC機能を提供する上で最も進んでいるため、このような開発はプロトコルの守りと競争力を強化するはずだ、とアメリカの投資運用会社VanEckは述べています。
許可制のDeFiが伝統的な金融プレーヤーに浸透し始めるとすれば、UniswapのHooksがその起点となる可能性が高いでしょう。
Ethereumのモジュール化
Ethereumは、メインネットワークを超えて拡大し、複数のレイヤー2ブロックチェーンを含むようになりました。
レイヤー2チェーンは、手数料の大幅な削減とトランザクションの高速化を実現する一方で、トランザクションの検証がEthereumのメインネットの外部で行われるため、Ethereumのセキュリティが分断されるという重大な問題ももたらします。
EigenLayer
Ethereumの再ステーキングを行うプロトコル「EigenLayer」は、Ethereumのセキュリティシステムを使えない各プロジェクトがイーサリアムのセキュリティを利用できるようにします。
- EigenLayerとは
- 各プロジェクトはEigenLayer経由でサービスを展開し、同時にEthereumのセキュリティシステムも使用します。具体的には、Ethereum本体でステーキングしている人に、EigenLayer上のサービスでもステーキングしてもらいます。これが再ステーキングです。
引用元:EigenLayerの再ステーキングとは?仕組み、やり方や注意点を解説
Celestia
Celestia(@CelestiaOrg)は、Ethereumとは異なるアプローチを取り、モジュラー型のブロックチェーンを志向しています。
- モジュラー型のブロックチェーンとは
- ブロックチェーンに必要な要素を分割して、複数のブロックチェーン・ソリューションで構成するブロックチェーンです。
前提として、ブロックチェーンに必要なものには、以下のようなものが挙げられます。
・実行(Execution)
・決済(Settlement)
・コンセンサス(Consensus)
・データの可用性(Data availability)
シンプルなブロックチェーンでは、全ての要素を単一のブロックチェーンで処理するのが一般的です。一方で、モジュラー型のブロックチェーンでは、各要素において特化したソリューション・ブロックチェーンを活用することで、柔軟性・分散性・スケーリングをより向上させます。
Celestiaは今後DAレイヤーとして実行や決済レイヤーの基盤となる可能性があります。
2024年には、Berachainなどの大手プロジェクトがCelestiaに展開する予定です。
ステーキングの再利用とリスク
投資家は、ステークしたETHを別のステーキングに再ステーキングすることで、さらなる利益を得ることができます。
しかし、再ステーキングは他のDApps(分散型アプリケーション)と同じく、ハッキングの可能性があります。
Ethereumネットワークの安定性を脅かす可能性があり、慎重な取り扱いが求められています。
オピニオン
DeFiへのKYC導入は、犯罪利用を減らせるメリットが得られる一方で、匿名性というDeFiの大きな特徴を失うことになります。
CEXの出口での取り締まりを厳格にすることで、DeFiにおける匿名性は維持すべきと考えます。