【WEB3BB イベントレポート】DAOは本当に機能するのか?

DAO

本記事では、WEB3BBで行われたディベート「DAOは本当に機能するのか?」について紹介します。
WEB3BBは、2023年12月21日・22日に国立新美術館で行われました。
企業がブース出展や、登壇を行うイベントです。

本記事で分かること
・WEB3BBとは?
・登壇者情報
・ディベートの内容
・DAOの定義とは?
・会社としてDAOを作るのはどうか?
・DAOの難しさと社会実装について

WEB3BBとは、「WEB3をはじめとする最先端テクノロジーを活用したビジネスの促進」をテーマに年3回開催されるイベントです。

国内外問わず、多くの参加者が集まり、登壇イベントやネットワーキングが行われます。1,000名以上の参加者が集まり、185の企業が参加しています(2023年12月26日時点)。

上田 敏孝(@ToshitakaUeda)
代表取締役
DAO Inc.
1987年栃木県生まれ。 2005年に人材会社に入社し、採用を通じてゼロから事業を創る経験をした後、2019年からは個人事業としても活動を開始し、アドバイザーや講演活動、日本で唯一のDAO型企業 “DAO Inc. “としてDAO Inc. 世界中で250以上のWEB3.0プロジェクトをプロデュースし、WEB3.0を支えるフィクサーとして日々新しいコンセプトで走り回る。

小規模経済圏の設計者、ウォレット開発者
飯島春樹(@umakunaihouno

COO                             Nextmerge株式会社

私たちの主要プロダクト「TIP WAVE」は、SNSのIDを使用してNFTや暗号資産を受け取り、アプリケーションと接続できる革新的なシステムです。これは、日本におけるブロックチェーン技術の普及と利用法の提案に貢献しています。 TIPWAVEはその使いやすさから、コミュニティ内でのトークンエコノミクスの開発や、特定のコミュニティに合わせた経済圏の創出にも利用されています。また、国への提言を行う「ルールメイカーズDAO」というコミュニティの運営メンバーとしても活動しており、時代の進歩に合わせた新しいルールメイキングを国と共に推進しています。

武田 恭治

Managing Director
株式会社DeFimans(@DeFimans

2016年に新規事業開発室にて暗号資産取引所(現SBIVC)の立上げ、金融庁登録(関東財務局000011号)。 2018年、Digital Entertainment Asset社の立上げ、業務フロー策定、ウォレット管理システムの構築、暗号資産DEAPcoinの設計、戦略に従事。 GameFi事業、ウォレット開発、web3事業戦略構想プロジェクト、取引所立上げサポートを行う傍ら、2020年から地方自治体のデータ利活用ビジネス立上げを手がける。 全てはクリプトで繋がると信じている

ディベート概要
・分散型自立組織(DAO)の機能性についての議論
・DAOの概念、目的、利点、課題や様々な思想について
・現在の技術的課題や社会的影響についての見解

まずは、「DAOの定義とは何か」について議論が行われました。
DAO Inc.の上田 敏孝(@ToshitakaUeda)氏がファシリテーターとして議論を進めていきました。

ーDAOの定義とは何でしょうか?

飯島 春樹氏:
・ビットコインがDAOに近い。
・社会に実装するのは、非現実的。理由は、トークン発行・資金調達の難しさや、コミュニティの匿名性など。匿名で法人は不可のため。
・DAOを語ると叩かれるので、避けている傾向にある。
・ブロックチェーンが入っているか入っていないかがDAOの肝になる。

武田 恭治氏:
・同じ思いを持った人が、その場に集まって進んでいくものであると考えている。
・気づいたらDAOになっていく。
・DAOの思想が大事なのではないか。
・WikipediaがDAOに近い。

Wikipediaは、広告ではなく寄付を募って運営しています。
辞書を作りたい!という気持ちでやっているところが、DAOらしさを感じるとのことでした。

会社としてDAOを作るのはどうか?

ー会社としてDAOを作るのはどうでしょうか?

飯島 春樹氏:言葉の定義が曖昧なので、そのコミュニティが良ければいいのではないか。

武田 恭治氏:DAOを作るというよりかは、2年・3年と組織が続けば良いのではないか。

「DAOの難しさ」と「身近に存在しているDAO的な動き」について

ここからは、「DAOの難しさ」と「身近に存在しているDAO的な動き」について、3人のディベート内容を記載します。

上田 敏孝氏:
・半年で30個以上DAOを作った。
・DAOを作りたい人が多いが、みんな続かない。
・コミュニティ設計が難しくて、飽きてしまっている。

飯島 春樹氏:
・DAOは手段に近い。
・資金調達が難しいところに、トークンを使用して、インセンティブを作ることが可能。
・既存のNPOがトークンを発行するイメージ。
・NPO以外は、まだ早いかもしれない。
・株式会社はやる意味がないのではないかと思う。

武田 恭治氏:
・株式会社でDAOを使えるとしたら、職員のエンゲージメントを高めるという活用でとどまってしまうのではないか。

上田 敏孝氏:
・会社でも、DAOっぽい何かは存在する。
・人事をやってた時に仲良いコミュニティができているので、実装しやすいのでは?と思う。

飯島 春樹氏:
・小さいDAOのようなものは多く生まれている。
・DAO的なものは、瞬間的に多くある。
・そして、瞬間的でも良い。長くDAOにいる人が強くなってしまう傾向がある。
・DAOは目的が達成できるか否かが大切。

武田 恭治氏:
・身近でDAO的な動きが存在した。
・知り合いがミニバスの監督で、全国大会がなかった。任意で全国大会をやるために動いていた。
・交通費などのお金が必要なので、資金調達のために動いていた。
・会場を探すために動いている人もいた。
・「全国大会を作る」という目的達成のために。

DAOの社会実装について

次は「DAOの社会実装について」です。

上田 敏孝氏:
・クリプト決済が社会実装の鍵ではないか。

飯島 春樹氏:
・クリプト決済については、コミュニティでトークンを発行している事例がある。
・円には使えないけど、独自コミュニティで使えるものはある。

武田 恭治氏:
・法整備と税制関係が大事。
・ステーブルコインがどの程度普及するかが大切。

地方創生について

ディベートの最後は「地方創生について」です。

ー地方創生とDAOはどのように行われていくべきか。

飯島 春樹氏:
・地域通貨の発行をブロックチェーン上で行えば良いと思う。
自治体が地域通貨を発行している事例はすでにある。
・特定の店で使えるようにすれば、地域通貨を使うインセンティブが出てくる。

武田 恭治氏:
・人がいないと難しい。関係人口を増やす必要がある。
デジタル住民などが良い例で、みんなで課題に対して解決する動きがみられる
・既に、デジタル住民などで地方創生をやりたい人から、連絡をもらっている。

本記事では、WEB3BBのディベートの内容を紹介しました。

まとめ
・WEB3BBとは?
・登壇者情報
・ディベートの内容
・DAOの定義とは?
・会社としてDAOを作るのはどうか?
・DAOの難しさと社会実装について

筆者が印象に残ったのは、「WikipediaがDAOに近い」ということです。
Wikipediaをみると、寄付を募るページが出てくることがあると思います。
お金を取らずに辞書のようなサイトを作りたい。しかしお金が足りない。
DAOと呼ばれているコミュニティでも、似たような現象が起きていると感じています。
お金を渡したいが、渡せるお金がない。収益があげられない。
DAOの難しさは、収益の確保です。収益の確保は既存のビジネスでも大変ですが、個人で「DAO」を作っている事例もあり、資金繰りがうまくいっていない状況です。

国内のDAOと呼ばれているコミュニティでは、イベントを行う際に「ボランティアでスタッフを募集しないといけない」という状況が散見されます。

「やりがい搾取」や「インターン」を当たり前にせず、資金をどう確保すれば良いかを考えることが何よりも重要であると考えています。

画像ソース:公式サイト

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